全部は回らないと決める|余白を残す旅行計画の作り方
前回の記事では、旅行の予定を細かく決めすぎず、まずは気になる場所を地図に置いてみることについて書きました。
行きたい場所をGoogleマップにプロットしていくと、自分がどのエリアに惹かれているのか、どんな場所を見たいと思っているのかが少しずつ見えてきます。
ただし、地図に場所を置いただけでは、まだ旅程にはなりません。
問題はここからです。
その場所を全部回ろうとすると、また予定を詰め込みすぎる旅に戻ってしまいます。
せっかく自分が行きたい場所を見つけたのに、今度はそれを全部こなすことが目的になってしまう。
私は、それでは少し本末転倒だと思っています。
旅程を作る目的は、すべての場所を効率よく回ることではありません。
旅先で迷いすぎないようにすること。
移動で疲れすぎないようにすること。
天気や体調に合わせて、行き先を選べるようにしておくこと。
そして、自分が本当に見たいものを見る余裕を残すこと。
そのために、地図に置いた場所を整理していきます。
この記事では、筆者が実際に意識している、地図にプロットした場所を無理のない旅程に変える考え方についてまとめます。
例えば、北海道を旅するとします。
飛行機で新千歳空港に到着し、レンタカーを借りる。
この日の天気予報は、晴れのち雨。
空港に着いた時点では、まだ晴れていました。
まずは、予定していた支笏湖へ向かいます。
新千歳空港から比較的近く、天気が良いうちに見ておきたい場所だったからです。
この時点で、選択肢はいくつもあります。
一番見に行きたい場所へ向かう。
一番遠い場所を先に済ませる。
天気が崩れないうちに、屋外の景色を見に行く。
宿泊地へ向かいながら、途中で寄れる場所を選ぶ。
どれが正解というわけではありません。
ただ、晴れている時間が限られているなら、私はまず「天気が良い方が楽しめる場所」を優先します。
支笏湖に着くと、透き通った湖が広がっていました。
しばらく湖を眺めていると、空港にいたときよりも雲が増えていることに気づきます。
天気予報では、夕方から雨。
このあと、どこへ向かうかを考えます。
この日の宿は登別温泉にしていました。
支笏湖から次に向かう場所としては、札幌市内の羊ヶ丘展望台やサッポロビール園、あるいは登別温泉方面へ進む途中の場所、少し足を伸ばして洞爺湖なども候補に入るかもしれません。
札幌市内へ寄ってから登別温泉へ向かうこともできます。
早めに宿の方向へ進むこともできます。
この時点では、まだ時間に少し余裕があります。
そんなとき、たまたま居合わせた人と話す機会がありました。
その方から、近くに「苔の回廊」と呼ばれる場所があると教えてもらいました。
樽前山の噴火によってできた沢のような場所で、両側の壁に緑の苔が広がっているとのこと。
正直に言うと、事前に地図へプロットしていた場所ではありませんでした。
最初から強く行きたいと思っていた場所でもありません。
ただ、支笏湖からそれほど遠くなく、まだ雨も降っていない。
そして、宿泊地である登別温泉の方向から大きく外れるわけでもない。
それなら少し寄ってみてもいいかもしれない。
そう考えて、予定を少し変えることにしました。
実際に行ってみると、そこには思っていた以上に静かな空間がありました。
両側に苔が広がり、光がやわらかく入り、観光地というよりも、自然の中に少し入り込んだような場所でした。
事前に強く期待していた場所ではありません。
しかし、だからこそ新しい発見がありました。
その後、その方たちから白老町にあるヨコスト湿原の話も聞きました。
当初の予定にはまったく入っていなかった場所です。
ただ、支笏湖から登別温泉へ向かう流れを考えると、白老方面は大きく外れる場所ではありません。
天気もまだ何とか持ちそうです。
そこで、ヨコスト湿原にも立ち寄ることにしました。
結果として、当初考えていた札幌市内へ向かうルートとは違う動きになりました。
ただ、徐々に登別温泉へ近づく流れになっていたため、移動としては無理がありませんでした。
ヨコスト湿原に立ち寄ったあと、登別温泉へ向かうと、到着するころには雨が降り始めました。
ぎりぎり、天気が持ってくれた形です。
もちろん、最初から札幌市内へ向かい、羊ヶ丘展望台やサッポロビール園に寄ってから登別温泉へ行く選択もあったと思います。
それも、ひとつの旅の形です。
ただ、旅には予定していなかった出会いや、現地で知る情報があります。
道中の景色を見る楽しみもあります。
知らない土地を車で走る時間も、旅の一部です。
天気の変化に合わせて、行き先を変えることもあります。
もし最初から分単位で予定を固定していたら、「苔の回廊」や「ヨコスト湿原」に立ち寄る余地はなかったかもしれません。
逆に、何も決めていなければ、どこへ向かうか迷いすぎて、時間を無駄にしていたかもしれません。
だから私は、予定をまったく立てないのではなく、選択肢を持っておくことが大切だと考えています。
行きたい場所をいくつか地図に置いておく。
天気が良い日に行きたい場所を考えておく。
宿泊地の方向から大きく外れない範囲を見ておく。
ただし、現地で知った場所や、その日の気分で変えられる余白も残しておく。
このくらいが、私にはちょうど良い旅の組み方です。
旅程は、予定を縛るためのものではありません。
旅先で迷いすぎないために、選択肢を整理しておくものだと思っています。
ここで大切なのは、予定を変えたこと自体ではありません。
予定を変えても無理が出ないように、最初から余白を残していたことです。
行きたい場所をいくつか地図に置いておく。
天気が良い日に行きたい場所を考えておく。
宿泊地の方向や移動の流れをざっくり見ておく。
ただし、その日の天気や体調、現地で知った情報に合わせて変えられる余地も残しておく。
このくらいの準備があると、旅先で迷いすぎず、かといって予定に縛られすぎることも少なくなります。
私は、旅程は予定を固定するためのものではなく、旅先で選びやすくするための整理だと考えています。
すべてを決めてしまうと、偶然の出会いや、その日の感覚を入れる余地がなくなります。
反対に、何も決めていないと、現地で迷いすぎて疲れてしまうことがあります。
だからこそ、地図に置いた場所をどう整理し、どこまで決めて、どこから余白として残すのかが大切になります。
次の記事では、プロットした場所をもとに、実際にどのように旅程へ落とし込むのか。
「必ず行く場所」と「行けたら行く場所」の分け方、天気による優先順位、移動の組み方について、もう少し具体的に整理していきます。